底なし沼
梅吉
さんのクチコミ
- 女性40代
- 職業:会社員
- 都道府県:鹿児島県
底なし沼
2010-07-26 18:55:35子供の頃(昭和40年代)、台風の時期になるとしょっちゅう停電していました。
ある夏の夜、やっぱり停電。
父は仕事場の様子を見に外出して不在、母は台所でおにぎり作り。
私は離れ(というか、建て増ししたお風呂場)で入浴中。
人里離れた山の中の古~い一軒屋、一人ぼっちのお風呂は暗闇です。
外は風が唸り、時々家が鳴ります。
そろりと手を伸ばし、備えていた懐中電灯を点けて棚に置きます。
すると、バスクリンのお風呂の表面がぼわっと緑色に浮き上がる。
しかし五右衛門風呂の底の方は暗くて見えません。
突然、頭の中に「底なし沼」という言葉が浮かびました。
田舎生まれの母から散々聞かされた「きんねどん」(狐の妖怪)や
「がらっぱどん」(河童)や「おまんび」(火の玉)の実話が蘇ります。
実在する知人の固有名詞と近所の地名付きで語られる話は
子供心に深く沁み込んでいました。
私はもう、バスクリンのお風呂が沼にしか見えず、
底の方に得体の知れないものがいるような気がしてきて、
「おがあぢゃーーーーーん!!」と叫んで風呂場から飛び出していました。
いつもは楽しくて気持ちいいバスクリンが
なぜかあの夏だけは怖かった、そういう懐かしい思い出です。
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